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8 職場におけるハラスメント

 20206月より職場のパワーハラスメント防止措置が義務づけられ(中小事業主は2022年4⽉1⽇から義務化),セクシュアルハラスメントやマタニティハラスメント等の防止とともに企業での対応が必要になりました。

【「職場」とは】
 事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所であり,通常就業している場所以外の場所であっても「職場」に含まれます。
 〔例〕①取引先の事務所 ②打ち合せするための飲食店 ③顧客の自宅 ④通勤時

【「労働者」とは】
 正規労働者のみならず,パートタイム労働者等いわゆる非正規労働者を含む事業主が雇用する労働者のすべてが対象です。また,「派遣労働者」については,派遣元事業主のみならず,派遣先についても,派遣労働者を雇用する事業主とみなされ,職場におけるハラスメントに関する雇用管理上の措置についての規定が適用されます。

職場におけるセクシャルハラスメント

【職場におけるセクシャルハラスメントとは】
 セクシュアルハラスメントには,上司又は同僚から行われる以下の2つの型があります。
「対価型セクシュアルハラスメント」…職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により,労働者が解雇,降格,減給等の不利益を受けること。
「環境型セクシュアルハラスメント」…職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により,労働者の就業環境が不快なものとなったため,能力の発揮に重大な悪影響が生じる等労働者が就業する上で無視できない程度の支障が生じること。

【セクシュアルハラスメントになる「言動」とは】
 性的な内容の発言及び性的な行動を指し,「性的な内容の発言」には,「性的な事実関係を尋ねること」,「性的な内容の情報を意図的に流布する」等が含まれます。「性的な行動」には「性的な関係を強要すること」,「必要なく身体に触ること」,「わいせつな図画を配布すること」等が含まれます。

【セクハラによる精神疾患に関する労災[セクハラ労災]請求相談窓口】
 職場でのセクハラが原因で精神疾患を発症し,その労災を申請したい方のための相談窓口です。詳細を他人に知られたくない,被害の事実を想起することによって症状が増悪するなどのことから,なかなか相談に至らないケースが多く,専門のカウンセラー(女性)による特別相談窓口が開設されています。
TEL:075-241-3217(京都労働局労災補償課)

職場におけるパワーハラスメント

【職場におけるパワーハラスメントとは】
 職場において⾏われる,優越的な関係を背景とした⾔動であって,業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより,労働者の就業環境が害されるものであり,からまでの3つの要素を全て満たすものをいいます。
 職場におけるパワーハラスメントの状況は多様ですが,代表的な⾔動の類型としては以下の6つの類型があります。

⑴ 身体的な攻撃(例)暴行・傷害
⑵ 精神的な攻撃(例)脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言
⑶ 人間関係からの切り離し(例)隔離・仲間外し・無視
⑷ 過大な要求(例)業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害
⑸ 過小な要求(例)業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
⑹ 個の侵害(例)私的なことに過度に立ち入ること

★客観的にみて,業務上必要かつ相当な範囲で⾏われる適正な業務指⽰や指導については,職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

職場における妊娠・出産等に関するハラスメント

【職場における妊娠・出産等に関するハラスメントとは】
 職場における妊娠,出産等に関するハラスメント(マタニティハラスメント)には,上司又は同僚から行われる以下のものがあります。

 「制度等の利用への嫌がらせ型」…その雇用する女性労働者の妊娠又は出産に関する制度又は措置(労基法第65条第1項の規定による休業その他)の利用に関する言動により就業環境が害されるもの。

(例)
・育休制度の利用を上司に相談したところ,「利用できない」と言われた,又は「利用しないよう」言われた。
・男性労働者が育休取得について上司に相談したところ,「男のくせに育休を取るのか」と言われ,利用を諦めた等の事例は,父親へのハラスメントとして「パタニティハラスメント(パタハラ)」とも呼ばれます。

「状態への嫌がらせ型」…雇用する女性労働者が妊娠したこと,出産したことその他の妊娠又は出産に関する言動により就業環境が害されるもの。
(例)
・妊娠したことを上司に告げると,「他の人を雇うので早めに辞めてくれ」「責任ある仕事は任せられない」と言われた等。

★業務分担や安全配慮等の観点から,客観的にみて,業務上の必要性に基づく言動によるものについては,職場における妊娠,出産等に関するハラスメントには該当しません。

職場のハラスメントに対して事業主が講ずべき措置

職場におけるパワーハラスメントやセクシュアルハラスメント及び妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するために,事業主が雇用管理上講ずべき措置として,主に以下の措置が厚生労働大臣の指針に定められています。

・事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
・相談(苦情を含む)に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備
・職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
・併せて講ずべき措置 (プライバシー保護,不利益取扱いの禁止等)