13 雇用保険(失業保険)
雇用保険の目的
労働者が失業したり,雇用の継続が困難になった場合に必要な給付を行うほか,労働者自ら職業に関する教育訓練を受ける場合に必要な給付を行うことにより,労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに,失業者の休職活動を容易にするなど就職を促進します。また,労働者の職業の安定に資するため,失業の予防,雇用機会の拡大,雇用構造の改善,労働者能力の開発・向上,その他労働者の福祉の増進を図ることを目的としています。
適用事業
<強制適用事業>
労働者が1人でも雇用されている事業
<暫定任意適用事業>
常時5人末満の労働者を雇用する農林の事業,動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産,養蚕又は水産の事業(国,都道府県,市町村その他これに準じるものの事業及び法人である事業主の事業を除く。)は当分の間,任意適用事業です。
適用労働者の範囲(被保険者)
正社員・パート・アルバイトにかかわらず,以下の労働者はすべて被保険者となります。
・31日以上の雇用見込みがあること(*)
・1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること
* 31日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き,この要件に該当することとなります。例えば,次の場合には,雇用契約期間が31日未満であっても,原則として,31日以上の雇用が見込まれるものとして,雇用保険が適用されることとなります。
・ 雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり31日未満での雇止めの明示がないとき
・ 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき
<登録型派遣労働者の雇用保険の適用>
次の要件に該当する場合は,適用されます。
1.一つの派遣元事業主に1年以上引き続き雇用されることが見込まれること。
2.一つの派遣元事業主との間の雇用契約が1年未満であっても雇用契約と次の雇用契約の間隔が短く,その状態が通算して1年以上続く見込みがあること(この場合,雇用契約については派遣先が変わっても差し支えありません。)。
保険料
保険料は,賃金支払いのつど賃金総額に保険料率を乗じた額を事業主と労働者で負担します。税率は,労働局のページで確認できます。
雇用保険からの主な給付
<求職者給付>
雇用保険の被保険者が,解雇,倒産・自己都合等で離職し,働く意思と能力がありながら就職できない場合,「基本手当」が支給されます。基本手当の支給要件は,一般被保険者の場合,離職の日以前2年間(特定受給資格者は1年間)に,賃金支払の基礎となった日数が月11日以上ある月が通算して12箇月(特定受給資格者6箇月)以上あり,かつ,雇用保険に加入していた期間が通算して12箇月(特定受給資格者は6箇月)以上あることが必要です。(特定受給資格者とは,倒産,解雇等により離職した者をいいます。)
基本手当の日額は,賃金日額(原則として,被保険者期間として計算された最後の6箇月に支払われた賃金総額を180日で除した額)に給付率(50~80%)を乗じた額が下表の所定給付日数分給付されます。
所定給付日数
■一般被保険者であった受給資格者(自己都合,定年等による離職)
算定基礎期間 |
1年
未満 |
1年以上
5年未満 |
5年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年以上 |
全年齢共通 |
- |
90日 |
90日 |
120日 |
150日 |
■特定受給資格者(倒産,解雇等による離職)
算定基礎期間 |
1年未満 |
1年以上
5年未満 |
5年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年
以上 |
離職日に おける年齢 |
30歳未満 |
90日 |
90日 |
120日 |
180日 |
- |
30歳以上
35歳未満 |
120日 |
180日 |
210日 |
240日 |
35歳以上
45歳未満 |
120日 |
240日 |
270日 |
45歳以上
60歳未満 |
180日 |
240日 |
270日 |
330日 |
60歳以上
65歳未満 |
150日 |
180日 |
210日 |
240日 |
■就職困難者
算定基礎期間 |
1年未満 |
1年以上 |
離職日に おける年齢 |
45歳未満 |
150日 |
300日 |
45歳以上 65歳未満 |
|
360日 |
日雇労働求職者給付金(日雇雇用保険)
日雇派遣で働く方が失業した(派遣会社に予約登録していたが派遣されなかった)場合に,雇用保険制度の給付金である日雇労働求職者給付金(以下「給付金」といいます。)を支給して,その方の生活の安定を図りつつ常用就職に向けた支援を行います。
<対象者>
日ごとの雇用契約によって派遣労働を行っている方で(30日以内の期間を定めて雇用されている人も含みます。),常用就職を希望している方。
<手続きの流れ>
①ハローワークの窓口で,1.資格取得届(届出様式はハローワークで配布しています) 2.登録証明書(日雇派遣を受けている派遣会社に対し,労働者本人が発行を求めます。様式はハローワークで配布しています。)3.住所確認のできるもの(住民票など)を提出し,日雇手帳を交付してもらいます。
②派遣会社に手帳を提出し,賃金を受け取る際に雇用保険印紙を貼付してもらいます。
③失業した(派遣会社に予約登録していたが派遣されなかった)月の前月と前々月の2月間に,通算26枚以上の印紙が手帳に貼られているとき,その月に給付金を受給する資格が発生します。
④受給資格がある月に失業し,給付金を受給しようとする場合は,失業した日の一定時限(ハローワークによって異なります。)までに指定されたハローワークに来所,日雇手帳・労働者派遣契約不成立証明書(失業の日の前日までに会社に対し,労働者本人が発行を求めます。本人の辞退によって派遣されなかった場合は発行されません。)・失業の認定(及び不就労日)に関する届書を提出し,常用就職のための職業相談等を経た上で,その日の「失業の認定」を受けなければなりません。
<印紙と給付金の概要>
雇用保険印紙は,支払われた賃金額に応じて1級から3級に分類されます。
1級 印紙保険料 日給11300円以上の場合
2級 印紙保険料 日給8200円以上11300円未満の場合
3級 印紙保険料 日給8200円未満の場合
<給付を受けられる金額>
貼付された印紙がすべて1級である場合 日額7500円
貼付された印紙がすべて2級である場合 日額6200円
貼付された印紙がすべて3級である場合 日額4100円
<給付を受けられる日数>
(就労1日ごとに1枚の印紙の貼付または押捺を受ける)
給付を受けようとする月の前月,前々月の印紙の合計枚数について,
26枚~31枚・・・給付を受けようとする月の最大給付日数13日
32枚~35枚・・・給付を受けようとする月の最大給付日数14日
36枚~39枚・・・給付を受けようとする月の最大給付日数15日
40枚~43枚・・・給付を受けようとする月の最大給付日数16日
44枚以上・・・・ 給付を受けようとする月の最大給付日数17日