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10-1 育児休業制度

育児・介護休業法

 育児休業については,「育児・介護休業法(育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)」で定められています。
 事業主は,対象となる労働者の休業の申し出を拒否することはできません。また,休業の申し出または休業することを理由として,労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをすることは禁止されています。

育児休業制度

 2021年6月,男女とも仕事と育児を両立できるように「産後パパ育休制度」創設などを含む改正法が公布されました。

【育児休業制度の対象労働者】
 原則として1歳に満たない子を養育する労働者は,事業主に書面・メール・FAX等で申し出ることにより休業することができます。ただし,「日々雇用される労働者」は対象になりません。また,労使協定により次の労働者を対象から除外できます。
 1.引き続き雇用された期間が1年未満のもの
 2.育児休業の申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかなもの
 3.1週間の所定労働日が2日以下のもの
 有期雇用労働者も,1年以上の雇用実績があり,子が1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかでない場合は申し出ることができます。

【育児休業期間】
 原則として,子が出生した日から1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で,労働者が申し出た休業開始予定日から休業終了予定日までの期間,取得することができます(2022.10~分割して2回取得も可能)。
 母親は,産後8週間の「産休」が終了した翌日から,育児休業を取得することができます。
 父親は,子の出生後8週間以内に4週間まで「産後パパ育休」(2022.10~)を取得することができます(分割して2回取得も可能)。

 また,父母がともに育児休業を取得する場合,休業可能期間が1歳2か月まで延長され,それぞれ1年間の期間まで取得が可能です(パパ・ママ育休プラス)。

パパ・ママ育休プラス 厚労省HPより

 次のいずれかに該当する場合は,子が1歳に達した日の翌月から1歳6ヶ月に達する日までの期間で, 労働者が申し出た休業開始予定日から休業終了予定日まで育児休業を延長することができます(再延長で2歳まで可能)。
1. 保育所に入所を希望しているが入所できない場合
2. 配偶者が1歳以降子を養育する予定であったが,死亡,負傷,疾病等の 事情で,養育が困難になった場合

【育児休業回数】
 1人の子につき,原則として,1回取得できます(2022.10~2回に分割が可能)。
 ただし,有期雇用労働者が育児休業する場合,労働契約期間の末日まで休業した後,労働契約の更新に伴って更新後の労働契約期間の初日を育児休業期間開始予定日とする申出をする場合は再度の申出ができます。

【育児休業の終了】
 育児休業は労働者が申し出た休業終了予定日又は労働者が希望する日に終了しますが,労働者の意思にかかわらず,以下の場合には終了します。 
1. 育児休業期間中に子の死亡等により子を養育しなくなる場合
2. 子が1歳に達した(1歳6ヶ月/2歳まで育児休業する場合は,子が1歳6ヶ月/2歳に達した)場合
3. 育児休業中の労働者について産前産後の休業期間,介護休業期間又は新たな育児休業期間が始まった場合

【育児休業給付】
 育児休業給付は,育児休業をしたときに,雇用保険から一定の要件を満たす被保険者に対して,給与の一定割合(原則として休業6ヶ月までは日額の67%、その後は50%)が支給されます。

【事業主に課される義務】
①育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(2022.4~)
 育児休業や産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため,以下のいずれか(又は複数)の措置が必要となります。
1. 育児休業や産後パパ育休に関する研修の実施(特に管理職への)
2. 育児休業や産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口設置など)
3. 自社の育児休業や産後パパ育休取得事例の収集・周知
4. 自社の育児休業や産後パパ育休制度と取得促進に関する方針の周知

②妊娠・出産を申し出た労働者に対する個別の周知・意向確認(2022.4~)
 本人又は配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対し,以下の事項について周知し,休業取得の意向を確認しなければなりません。
1. 育児休業や産後パパ育休の制度
2. 育児休業や産後パパ育休の申請先
3. 育児休業給付に関すること
4. 社会保険料の取り扱い

③育児休業取得状況の公表(従業員数1,000人超の企業/2023.4~)

育児休業終了後の制度

【短時間勤務制度】
3歳までの子を養育する労働者が,短時間勤務(原則1日6時間)することができる制度で,事業主には設置が義務付けられています。

【所定外労働の免除】
3歳までの子を養育する労働者が事業主に請求すれば,企業が決めた所定の労働時間以外の残業(所定外労働)が免除されます。

【時間外労働の制限】
小学校入学直前の3月31日までの子どもを育てる労働者は,週40時間・1日8時間を超える残業(時間外労働)を1ヶ月24時間・1年150時間までに制限するよう請求することができます。

【深夜業の免除】
小学校入学直前の3月31日までの子どもを育てる労働者は,法律で決められた深夜時間(夜10時から朝5時まで)に働くことが免除される制度です。ただし,ケガ・病気や出産前後の状態にない16歳以上の同居家族がいる場合は,この制度の対象外となります。

【子の看護休暇】
小学校就学前の子が1人であれば年5日,2人以上であれば年10日取得することができます。2021年1月からは時間単位の取得も可能になりました。


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