労働相談事例集
有期契約の雇い止め
 相談者のMさんは,K社に1年の有期雇用で採用されました。社内での人間関係も良好で,上司からも「長くいて欲しい」と言われていました。このままK社で働けると思っていましたが,2回更新がされ,3年目の3月に突然,「期間満了」による退職同意書を差し出され,次の更新はなし(雇止め)と言われました。
 理由を聞いても,はっきりした回答は得られず,仕方なく同意書にサインし3月末で退職しました。しかし,自分が辞めた後で別の人が新たに採用されたと聞き,どうしても辞めさせられたことに納得がいきません。どうしたらいいでしょうか。
  

アドバイス
(解雇予告について)
 契約を更新しない場合(雇止め),以下の有期労働契約者に対しては,少なくとも契約の期間が満了する30日前までに、その予告をする必要があります。

・有期労働契約が3回以上更新されている有期契約労働者に対して
・1年以下の契約期間の契約が更新、反復更新され、最初に契約を締結してから継続して通算1年を超える有期契約労働者に対して
・1年を超える契約期間の契約を締結している有期契約労働者に対して

 Mさんの場合は,30日未満で雇止めを言い渡されているため,実質的には「解雇」とみなされ,解雇予告手当が支払われなければなりません。

(雇止めの理由について)
 労働者が,更新しなかった理由について証明書を請求したときは,会社は速やかにこれを提示しなければなりません。その際,契約期間が満了した,ということとは別の理由が必要です。たとえば、

・前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されたため
・契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約はその上限にかかわるものであるため
・担当していた業務が終了・中止したため
・業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
・職務命令に対する違反行為を行ったため、無断欠勤をした等勤務不良のため
といった理由が考えられます。

 証明書の発行を請求すると共に,契約内容を書いた書面などを見直し,労基署や労働組合に相談してみましょう。ただし,同意書にサインしてしまっているので,雇止めの取り消しは難しいかもしれません。

 近年,有期雇用が増えるにつれて,このような雇止めのトラブルが増加しています。雇い主は,厚労省の基準を把握し,手続きを怠らず,有期契約だからといって安易に雇止めができると思わないようにしましょう。

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
(平成15 年10 月22 日・厚生労働省告示第357 号)
(平成20 年1月23 日一部改正・厚生労働省告示第12 号)

(契約締結時の明示事項等)
第1条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。
2 前項の場合において、使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。
3 使用者は、有期労働契約の締結後に前2項に規定する事項に関して変更する場合には、当該契約を締結した労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければならない。
(雇止めの予告)
第2条 使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。次条第2項において同じ。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30 日前までに、その予告をしなければならない。(雇止めの理由の明示)
第3条 前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2 有期労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
(契約期間についての配慮)
第4条 使用者は、有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。