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労働相談事例集
派遣労働者の保険未加入
 
 Sさん(男性31歳 派遣社員,大手電工(株)の工場で就労,勤続9ヶ月(3ヶ月契約の自動更新))
からの相談。各種公的保険への加入を求めたところ,「時給,交通費,皆勤手当などで合計35,000円を減額する。それに自己負担分35,000円が加わるので,毎月の給料から合わせて70,000円が減額となる。これでよければ,加入手続きをとる」というものであった。給料からこれだけの金額が減額されると生活できない。
 


アドバイス

 派遣元の会社は労働者個々に「厚生年金,健康保険,雇用保険に入りますか?」と打診し,「私は給料が少しでも多いほうが良いので入りません」との意思表示を受け,これを口実に,労働,社会保険未加入を正当化しています。
 労働者は低賃金から毎月労働者負担分数万円を引かれることに抵抗があり,法的に入らなければならないことを知らずに「入りません」と言っている場合が多いようです。経営者(派遣元)は,これらの保険に雇用主が責任をもって加入しなければならないことを知りながら使用者負担分を回避するために加入していないケースが多いです。
 法律的には労働保険は採用と同時に即加入しなければならないし,社会保険も,継続雇用が見込めた時点で加入することになっています。
 「就職しても直ぐ辞める労働者が多い」などを理由に半年も 1年も「雇用の継続の可能性を判断中」として未加入にしている雇用主もあることから,社会保険事務所は「 2ヶ月以内の短期契約の場合は期間終了まで即加入の必要はないが, 3ヶ月以上の契約は即加入しなければならい」との見解のもとに指導しているようです。派遣元が保険加入をしなかった場合,社会保険法に基づき罰せられることは当然です。
 改正派遣法では,派遣元は派遣先(受け入れ側)に派遣労働者の被保険者資格の有無に関する事項を通知しなければならず,派遣先はこれにより,派遣されてきている労働者が労働,社会保険に加入しているか否かをチェックし,加入していない場合には派遣元にその理由を糺し,適正に加入させてから派遣させるよう求めなければならないことになっています。しかし,実態は少しでも「派遣料」が少ない方が良い事から,大企業の「派遣先」も未加入を黙認しており,まさに共同の違反行為です。