労働相談事例集
採用時の労働条件の明示
 Tさんは,ハローワークの求人票を見てA社に面談に行ったが,給与や待遇,仕事の内容がはっきりしない。
 面談の結果,採用され来月からパートとして働くことになったが,このまま働き始めて大丈夫なのだろうかと不安に感じている。


アドバイス

 雇い主は,採用時に,賃金その他の条件について書面で交付しなければなりません。労働条件の明示(賃金・労働時間等に関する事項については書面による明示)が義務づけられています。(労基法第15条) 
 労基法第15条において,「使用者は,労働契約の締結に際し,労働者に対して賃金,労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において,賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については,厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。」と定められています。
 ちなみに,明示事項は,
  1. 賃金に関する事項
  2. 就業の場所及び従事する業務に関する事項
  3. 始業及び終業の時刻,所定労働時間を超える労働の有無,休憩時間,休日,休暇並びに就業時転換に関する事項
  4. 退職に関する事項
  5. 労働契約期間(有期労働契約に限る。)

▼パートの場合
 上記の明示義務はパートも同じです。就業規則か雇用通知書又は書面によって明示条件が満たされなければなりません。
 
▼職業安定法第18条「労働条件等の明示」
 「求人者は,求人の申込に当たり,公共職業安定所に対し,公共職業安定所は,紹介に当たり,求職者に対し,その従事すべき業務の内容及び賃金,労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と定められています。
 従って,求人票の条件と現実の条件が違った場合は,紹介された職業安定所に出向き,できるだけ「証拠となるもの」を持参して是正してくれるよう申告してください。
 
▼雇入通知書
 厚生労働省のモデル様式は,労基法第15条及び労規則第5条により,明示が義務づけられている事項すべてが記載できるようになっており,雇用形態別に作成され,社会保険についても記載できるようになっています。
 「労働条件通知書」又は「雇入通知書」は雇用主がもっていて内容を記載して労働者に交付するものですが,雇用主がそのような書類を持っていない場合もありますので,交付されない場合は,予めハローワークか労働基準監督署でもらって,持参した「労働条件通知書」又は「雇入通知書」を会社に提出して,必要事項を記載してもらってください。
 
▼注意事項
 労基法第15条による明示義務を果たしても,同第89条の就業規則の作成・周知義務は免除されません。作成義務(常時10人以上の労働者を雇用する事業主)のある事務所においては作成し・労働者の過半数を代表する者の意見書を添付して・監督署への届出が必要です。
 
▼罰則
 労働条件の明示義務違反は30万円以下の罰金となります。

<参照条文> 労基法第15条,第89条,労規則第5条,パート法第6条,パート指針。
 











































▼モデル雇入通知書
(厚生労働省)