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労働相談事例集
採用延期
 新卒のKさんは,M社から来年4月1日に入社ということで内定通知書をもらっていました。通勤可能な場所に引越し,入社に向けて準備をしていると,3月の下旬になって急に7月中旬に入社日を延期するとの通知が来ました。
 内定取り消しではないので安心したものの,急なことで7月までの生活費をアルバイトなどで稼がなければならなくなりそうです。

アドバイス
 内定により,入社予定日を就労の「始期」とする労働契約が成立していますので,内定後の企業の都合による入社日の繰り下げ(採用延期)は「一時帰休」(不況などにより,労働者を在籍のまま一時的に休業させること。)にあたります。
 つまり,本来仕事をするところを,会社の都合で仕事をさせない状態にある訳です。
 従って,入社予定者は,民法第536条第2項(*)により,賃金を満額請求することができます。
 中には,労基法第26条による平均賃金の60%(休業補償)しか支払わない企業も見受けられますが,そのことで民事責任が免除されたわけではなく,本来,使用者には満額賃金の支払い義務があるといえます。
 内定取り消しと同じように,書類を保存の上,労基署などへ相談することをおすすめします。

*【民法第536条第2項】債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは,債務者は,反対給付を受ける権利を失わない。この場合において,自己の債務を免れたことによって利益を得たときは,これを債権者に償還しなければならない。