労働相談事例集
業績不振を理由とする解雇
▼最近の事例から
パート従業員として就職して1年8ヶ月になる女性からの相談
突然、社長から業績が悪いので 4月25日(給与支給日)をもって辞めてくれるように言われた。業績が思わしくないのは解るが自分に責任があるわけではない為、不満ではあるが辞めることにした。
社会保険の控除はされていないが、失業保険はもらえるか。
▼アドバイス
1、雇用保険の受給問題の前に、1ヶ月の予告期間なしの解雇であるから、会社は予告手当て(30日分以上の平均賃金)を解雇を申し渡したその日に支払わねばなりません。(労基法第20条)
(即日支払いに関する細則は、昭和23・3・17基発464号)に定められています。
遅くならない内に会社に支払い請求をして下さい。
会社が予告手当てを支払わないときは、会社所在地を管轄する労働基準監督署に出向き、実情を説明し「申告」して下さい。
2、お尋ねの雇用保険の受給について[被保険者資格]
1)事業主の未手続き・保険料未納付でも資格はあります。
雇用保険は、今日、小規模な農林水産業以外すべて強制適用事業となっております。
このため、事業主による雇用保険に関する届出・保険料納付の有無とは全く無関係に、被保険者の要件(年齢・労働時間・雇用期間等)を充足する限り、労働者は雇用されると同時に被保険者の資格を取得することになっています。
2)パートタイマーの場合
1週間の所定労働時間が20時間以上で、1年以上引き続き雇用されることが見込まれ、賃金年額が90万円以上見込まれる者は一般被保険者となります。
所定労働時間が30時間未満の場合は、一般被保険者ではあるが、短時間労働被保険者として特別扱いされます。(雇用保険法第6条、13条参照)
3)受給手続き(通常)
事業主は、職安提出用の離職証明書(離職票に離職理由・賃金支払い状況)を記載した上で、離職者本人に確認の署名・押印を求めてから、被保険者資格喪失届けとともに、事業所所轄の公共職業安定所に提出します。
但し、離職者本人の確認を省略することができる場合があります。
職安は、離職票に所定事項を記入した上で事業主に交付します。離職者は、事業主から離職票を受領し、居住地を管轄する職業安定所に出向き、求職の申込みをした上で離職票を提出して受給資格の決定をうけることになります。
4)事業主が離職票を交付しない場合
事業主が雇用保険の諸手続きを怠り、保険料を納付していない等の事情で離職票を交付しない場合、労働者は事業所を所轄する職安に確認の請求を行い、被保険者であったことの地位の確認をもとめることができます。
被保険者であったことの確認がなされると、事業者所在地の職安は、離職者の請求により離職票を交付します。(雇用保険法施行規則17条1項3号)
そして、職安は、事業主に対し過去の保険料(労働者負担分を含む)を追徴します。
5)退職理由による給付制限
退職理由が自己都合退職か、会社都合退職かによって支給時期が違います。離職票を受領する際に十分注意して確認して下さい。
※その他、基本手当ての金額や賃金額などについては省略します。
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