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【紛争解決システムニュース 第20号】「解雇の金銭解決制度」の必要性はなく、今後の議論の必要性もない。各委員から、報告書(案)に対する修正点が多数投げかけられる。

【紛争解決システムニュース 第20号】
「解雇の金銭解決制度」の必要性はなく、今後の議論の必要性もない。
各委員から、報告書(案)に対する修正点が多数投げかけられる。
5月22日、第19回「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」(以下、検討会)が開催された。
前回、事務局より提示された報告書(たたき台)について、委員から、検討会のおけるコンセンサスが得られていないことを踏まえ、様々な意見が投げかけられたことを受け、内容を一部修正した報告書(案)が提示された。

今回の報告書(案)に対しては、「制度も不要であり、今後の議論の必要性もない。その上で、一定の結論に誘導するような文言が報告書内にいまだ散見されるので、中立・公正な記載に修正すべき」、「様々な意見が記載され、今後の議論がしやすくなった」、「例1~3および使用者申立を並列に扱い、結論部分に記載すべき」など、具体的な修正箇所につき、意見が相次いだ。
次回も引き続き、とりまとめに向けた議論が行われる。
(※)「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」報告書(案)等については、添付資料をご参照。

なお、検討会前に、厚生労働省前で開催した「『解雇の金銭解決制度』導入反対5.22厚生労働省前激励集会」には、連合組織内外から150名の方に参加いただいた。
激励集会の内容については、連合ホームページを参照いただきたい。

https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=1283


Ⅰ.日 時:2017年5月22日(月)15:00~17:00
Ⅱ.場 所:中央合同庁舎第5号館厚生労働省議室(9階)
Ⅲ.構成員:荒木尚志・座長(東大大学院教授)、石井妙子(弁護士)、鹿野菜穂子(慶應義塾大学大学院教授)、小林信(全国中央会労働・人材政策本部長)、小林治彦(日本商工会議所産業政策第二部長)、土田道夫(同志社大教授)、鶴光太郎(慶応大大学院教授)、徳住堅治(弁護士)、中山慈夫(弁護士)、水島郁子(大阪大学大学院教授)、水口洋介(弁護士)、八代尚宏(昭和女子大学特命教授)、輪島忍(経団連労働法制本部長) ※敬称略
Ⅳ.連合委員:高村豊(連合東京アドバイザー)、長谷川裕子(連合特別専門委員)、村上陽子(連合総合労働局長)
Ⅴ.議 題:・報告書のとりまとめについて
・その他
Ⅵ. 概 要:事務局より提示された「『透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会』報告書(案)」について、議論を行った。主な議論は以下のとおり。
(座)=座長、(委)=委員、(事)=事務局

1.現行の個別労働関係紛争解決システムの改善について
(委) 都道府県労働局あっせんの任意性は制度の特徴。あっせん開始通知書について、「参加が強制されない点を強調する記載ぶりを改める」との部分は削除すべき。

2.解雇無効時における金銭救済制度について
(1) 各項目に対して
(村上委員) ①議論の内容と経過を忠実にトレースした報告書案を作成すべきと前回強く要望したが、報告書(案)でも、多くの法的課題等が浮き彫りになった事実を超え、一定の結論に誘導するような文言が散見される。「適当である」と評価を加えている部分はすべて修正すべき。②「労働者の選択肢を拡大するという観点や、金銭の支払と労働契約の終了の関連性、国民にとってのわかりやすさ等を考慮すれば、例1や例2に比べると(例3は)相対的には選択肢として考え得る」とのコンセンサスは得られていないため、削除すべき。③労働者側には金銭的予見可能性と高めてほしいとのニーズはない。予見可能性を高めてほしいと考えているのは、解雇する以前に解雇したらいくらかかるかということを考える使用者側ではないか。

(委) ①バックペイ分に限度額を設けないとした場合、金銭的予見可能性の観点からも問題がある旨を追記すべき。②使用者申立に対し、政策的理由から反対する意見は多かったが、法理論的には検討の余地がある。検討対象から排除するのは反対。

(委) 「上限額や下限額などの限度額を設定することが適当であると考えられる」とあるが、コンセンサスは得られておらず、「適当である」との文言は削除すべき。

(委) ①「労働者の選択肢を拡大するという観点や、国民にとってのわかりやすさ等を考慮すれば、例3は相対的には選択肢として考え得る」という意見を述べており、記載は残すべき。②使用者申立は、現状で非常に困難な課題が多く、今後の検討課題とすることは、未来永劫不要。

(委) ①例1は手続的な仕組みで完結する制度ともとれるが、実体法の根拠が必要では。②解雇無効時の制度であり、現行の解雇法制のもとでは使用者申立は導入困難。

(委) ①労働部のない裁判所もあり、上限額や下限額などの限度額は必要。②制度創設に伴い、あらゆる事件が裁判所に持ち込まれるのは避けるべきであり、その旨の記載をすべき。③民法に遡れば解雇自由であり、使用者申立も現行法上導入ができないわけではない。④対象となる解雇は規制することなく、すべて対象とすべき。

(村上委員) 労働審判制度の解決金額に幅があるのは、事案の多様性によるもの。裁判官だけで決められないからこそ、労使の労働審判員が存在する。

(委) 中小企業の労働者保護の観点からは、下限額の設定は必須。

(委) 上限額を設定した場合、結果の妥当性に影響を及ぼしかねない。

(2)解雇無効時における金銭救済制度の必要性について
(村上委員) 制度創設の必要性も、今後、労働政策審議会で検討する必要性もない。

(委) ①「現行の労働紛争解決システムに悪影響を及ぼす可能性がある」から制度は不要とあるが、必ずしも悪影響はないと発言した委員もおり、両論を記載すべき。②報告書に様々な意見が記載され、今後の議論がしやすくなった。労働政策審議会で引き続き議論をすべき。その際には、金銭解決の具体的な水準も議論すべき。

(高村委員) 例1~3の具体的な論点について、この間議論をしてきたことは事実。しかし、検討会として、コンセンサスが得られていない以上、議論は打ち切るべき。

(委) 大企業で守られている労働者と中小企業で守られていない労働者との間の意見の対立がある。制度導入のインセンティブは労働者側にあり、新たな制度は必要。

(委) 「なお書き」で反対意見が記載されている点が問題。法律文書における「なお書き」は、要件事実に関連しない点を記載するもの。検討会において、反対意見は出されている以上、このような位置づけには、非常に違和感を覚える。

(委) 新たな制度は労使双方の納得性に資するものであり、制度の創設に賛成。労働者申立に限定しており、労働者の選択肢を増やすことにも資する。報告書の内容に賛同。その上で、労政審での議論の際の意見6点。①今回の検討会で合意に至らなかった部分については、専門家の作業部会で検討すべき。②労使双方、様々な属性の人からヒアリングを実施すべき。③中小企業でも理解できる簡素な制度とすべき。④予見可能性の高い制度とすべき。⑤制度導入にあたっては、混乱のないよう、相談体制の充実を。⑥中小企業の費用負担にも配慮願いたい。

(委) 地位確認は求めず金銭解決をしたいが、合意によらず判決で解決したいという労働者側のニーズは存在する。早期退職優遇制度を参考に水準を設定すべき。

(委) あっせん・労働審判・和解は労使の合意に基づくものであるからこそ、結果の妥当性が高まる。現行システムのブラッシュアップ・連携を図ることこそ重要。

(委) 合意で解決できない場面もあり、制度は必要。

(長谷川委員) ①委員の意見は平等に扱うべき。②結論の記載がアンバランス。a)例1とすべき、b)例3とすべき、c)制度は不要、現行の紛争解決システムを充実すべきとの意見があり、並列に記載すべき。③労働者から制度導入に賛成の意見はない。

(村上委員) ①「労働者の選択肢」と言うが、結果的に、お金さえ払えば解雇される労働者が増える懸念は拭えない。②制度不要の根拠を、結論部分にも記載すべき。

(委) 労働者のためになると言いつつ、実際には、使用者のリストラの武器になる。

(委) 例1~3および使用者申立を並列に扱った上で、結論部分の記載をすべき。

(座) 修正意見が多数あり、事務局には資料を修文してもらい引き続き検討する。

以 上

(添付資料)

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