日本労働組合総連合会京都府連合会(連合京都)

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<政策ニュースレター第231号>ILO総会・基準適用委員会で日本の労働基本権制約の問題が個別審査される

第15-00901号

2018年06月06日

各構成組織
書記長・事務局長および政策担当者 様
各地方連合会
事務局長および政策担当者 様

日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸
政策委員会委員長 野田 三七生
総合政策局長 川島 千裕
総合政策局長 平川 則男

<政策ニュースレター第231号>
 ILO総会・基準適用委員会で
日本の労働基本権制約の問題が個別審査される

6月4日(現地時間)、スイス・ジュネーヴで開催中のILO総会・基準適用委員会において、日本の公務員の労働基本権が制約されている問題が、日本が批准するILO第87号条約の国内実施に問題がある案件として、個別審査された。この案件が個別審査されたのは2008年以来、10年ぶりとなる。

(日本政府の見解)
審査では、冒頭、日本政府代表として本多厚生労働省総合政策・政策評価審議官が、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度について説明し、代償措置は機能していると述べた。そのうえで、自律的労使関係制度の構築については、様々な課題があり引き続き職員団体との対話を行っていく旨を述べ、今後の具体的措置には言及しなかった。消防職員の団結権問題については、消防職員委員会が代償措置として機能しているとした。また、消防職員・刑事施設職員は、(労働基本権が制約される)警察と同視すべき若干の職務として問題ないとILO結社の自由委員会が述べているとした。

(労使スポークパーソンの見解)
日本政府の見解に続いて、労働者側スポークスパーソンのレーマン氏(ベルギー)が、日本のような民主主義かつ高度に経済発展した国がILOの基本条約を50年以上も遵守していないことはショックであると述べた。そのうえで、消防職員・刑事施設職員が警察の範疇に含まれるとする政府の解釈・見解は正当化できるものではない、と指摘した。そして、団結権のない消防職場で起きている暴力・ハラスメントの問題、ILO条約では厳格的に認めているストライキ権の制限を日本では一律的に制限している問題、人事院勧告の代償措置機能の問題点などについて指摘した。
一方、使用者側のスポークスパーソンのレーゲンボーゲン氏(カナダ)は、使用者側は日本政府の説明は合理的であるとし、条約の具体的適用は各国の文脈・実情に沿うべきであるとした。

(当事国労使の見解)
続いて、当事国の労働者代表として、川本連合会長代行・自治労委員長が発言。1948年以来、日本では70年にもわたって公務員の労働基本権が制約され、この状態が恒久化されることに対する強い懸念を表明した後、多岐にわたる結社の自由の侵害状況について触れた。そして、ILOから指摘されてきた課題に対し、日本政府が真摯に対応していないことを指摘し、この問題の根本的・抜本的解決に向けた誠実な対応を促す委員会討議と結論の発出を要請した。
当事国の使用者代表からは、松井経団連労働法制本部参事・ILO理事が発言。日本政府の説明を完全に支持するとし、消防は歴史的経過があって現状の制度になっているのであり、日本の文脈を尊重すべきとした。また、ILOの監視機構の結論や勧告には拘束力がないことを指摘し、ILO以外の場でこの問題の解決をはかるべきと述べた。

(当事国以外の政労使の見解)
当事国以外の政労使からは、労働者側から、ポーランドNSZZ Solidarnosc、英国TUC、シンガポールNTUC、PSI(国際公務労連)、EI(教育インターナショナル)の代表5人がそれぞれ、消防職員・刑事施設職員の団結権否定の問題性、ストライキ権の制限と代償措置制度の問題、労働基本権が制約されているゆえに日本で推し進められている「働き方改革」も公務労働者は事実上射程外となっていることなどについて指摘した。
他国政府からは、北欧諸国政府を代表してノルウェー政府が、民間であろうと公務であろうと労働基本権は認められるべきであり、日本政府にも必要な措置を講ずるよう求めた。

(日本政府・労使スポークスパーソンの主張) 
その後、日本政府代表が再度、自律的労使関係制度については、国民の理解を得られていないとし、引き続き慎重な検討が必要であること、消防は警察の一部であるとの主張を繰り返した。消防職員委員会制度については今後も運用改善について関係者との意見交換を続けていきたいとした。
これに対し、労働者側スポークスパーソンは、再度、日本政府の見解に反論した上で、日本政府は、ILOへの87号・98号条約の国内適用状況に関する次回定期報告提出時(2020年夏)までに必要な措置を講じること、また、ILOのダイレクト・コンタクト・ミッション(訪問による調査)を受け入れるよう求めた。
最後に、使用者側スポークスパーソンが、ストライキ権は87号条約から直接導き出されるものではなく各国が独自に規制すべき問題であること、消防職員委員会制度の有効性について日本政府からの情報提供を期待すること、刑務官については、団結権を適用すべき刑務官と適用除外としてよい刑務官の区分について政府に情報提供と検討を求める旨を述べ、個別審査を終えた。

日本案件に関する基準適用委員会としての結論は6月7日に採択される見込み。

以 上

 

(添付資料)

 

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