京都高退協・平和講演会開催
  米軍普天間基地は撤去できる・・抑止力も軍事的合理性もない沖縄・米軍海兵隊
  沖縄タイムス・屋良編集兼論説委員が京都で訴え

沖縄から米軍基地撤去をめざす歴史的な沖縄県民大会の前日、4月24日、ラボール京都ホールで屋良朝博・沖縄タイムス論説兼編集委員を講師に迎えて、一般公開の平和講演会がもたれた。主催したのは京都総評のOB・OG組織である「京都高齢者退職者協議会」(会長・谷内口浩二)。退職者や労働組合員、一般市民もまじえて百三十人が参加した。

 講師は「日米安保体制と米軍再編――普天間移転問題で問われるもの」と題して、米軍再編の動きや実態をスライドを使って実証的に分かりやすく具体的に説明をした。屋良氏の講演の特徴は、沖縄基地問題を闘っていると思っている私たちが常識と思っていることも一から問いかけ、自らの足と口を使って掘り下げ、根本的に「常識」そのものを転覆させ、歴代自民党・公明党政権や現・鳩山政権が言っていることのでたらめさを暴露して、私たちに闘いの展望と勇気を与えてくれる点である。

 それは、もともと沖縄・宜野湾市・普天間に海兵隊の基地があったのではない。1956年までは山梨や岐阜にあったのであり、「本土」では日本国民世論から言って部隊・基地継続が限度であり、軍事的合理性はむしろない朝鮮民主主義人民共和国からかえって遠隔地である沖縄に急遽移転したのである。沖縄なら押し付け可能だと判断した政治的判断であり、沖縄県民への差別・分断の思想と判断があったということ。

 そしてマスコミは連日朝昼晩と普天間問題を報ずるが、一度も海兵隊とは何か、その内実はどうか、どうしたら移転させられるかというようなことを報道してないとも。海兵隊とは海軍の沿岸対策、切り込み部隊からの歴史がありロビー活動で生き残ってきた海軍付属部隊であり、繰り返すが軍事合理性でなく米軍最高幹部の気分感情や政治的判断で縮小・再編を続けてきた歴史であり(ウィルソン国防長官の決断、ラムズフェルド・稲嶺会談など)、個人的判断・見解では超大型移動式ヘリポートを借り上げる資金援助をこそ日本政府が行ったらすぐに解決する問題であるとも。その移動式大艦船で太平洋を移動していくのが一番軍事的にも合理的であると。

 これらのことを2007年から一年間休職して海兵隊の本拠地ハワイで徹底取材し、『砂上の同盟・・・米軍再編が明かすウソ』(沖縄タイムス社刊、2009年)として纏めた。

今日、米軍普天間基地の辺野古移設問題に象徴される米軍再編とはいかなるものかを解明した意欲作。沖縄になぜ米軍基地が集中しているのか、米軍にとって沖縄はほんとうに軍事的な最適地、戦略的な位置なのか、といった視点から米軍再編の実態を明らかにし、沖縄に米軍基地を置く必要はない、との方向を打ち出すに至っています。『沖縄の基地問題を考える上で示唆に富む著書』とされました」(沖縄選出・糸数けいこ参議院議員HPより)。第15回平和協同ジャーナリスト賞奨励賞受賞もむべなるかなという、ジャーナリストの真骨頂ともいえる。

講演後の質疑応答は公演時間をはるかに超えて、熱心に丁寧に答えられた。基地をなくしても沖縄はやっていけるのかと言うよくある質問には、「基地は何も生産しない。返還後は生産活動が可能となり、税収は五十倍、六十倍になる。あの広大な普天間基地でも日本人労働者は二〜三百人という単位にすぎない。」などなど。また参加者からは、「私たちの知らない沖縄の現実をさらに発信して、本土のメディアを動かしてほしい」「日本の真の民主主義と平和を勝ち取る闘いだ。きょうの参加者総意で、明日の沖縄県民大会に連帯を贈り、京都でもさらに米軍基地撤去の闘いを繰り広げよう」と定刻を超えて発言を求める挙手は止まらず、平和・オキナワへの思いあふれる講演会として、絶妙の日程設定もあり大きく成功した。

                  (2010.5.7京都高齢者退職者協議会事務局長稲村守)