労働相談事例集
休業中の給料について
 相談者のDさんは,2年前から飲食店で11時から19時まで月平均25日働いていたが,店長から新装開店のためしばらく店を閉めて改装するので休んでくれと言われ、約20日間休んだ。その間,休業中の給料はもらえなかった。しかし,知人の話によると店が休んでいる間の給料はもらえると聞いたため,疑問に思い相談の電話をしてみた。
 


アドバイス

 使用者の責に帰すべき事由により休業する場合は、休業期間中は平均賃金の60%以上の休業手当てを支払わなければなりません。(労基法第26条)
 労基法第26条による休業とは、労働契約上労働義務がある時間について、労働者が労働できなくなることで、集団的休業、個々人の休業もあります。
 また、丸 1日の休業だけでなく、1労働日の所定労働時間の一部のみの休業もあります。

■平均賃金とは
 労基法上の賃金とは、算定事由発生日以前3ヵ月間にその労働者に支払われた賃金の総額を、その期間中の総日数で除した金額を原則としています。なお、最低保障、現物給与、算定期間から除くべき期間・日数・賃金など、その取扱いが労基則・告示により詳細に定められています。

■休業中の賃金請求権
(休業の帰責事由が労使ともにないとき)
 天災事変などの不可抗力に該当する場合等、労働者は休業中の賃金の請求権はないが、就業規則、労働協約等の定めに従うことになります。
(休業の帰責が使用者にあるとき)
 民法第536条第2項により、使用者の「責めに帰すべき事由」(故意・過失または信義上これと同視すべき事由)がある休業の場合には、労働者は休業中の賃金を全額請求できます。
 就業規則、労働協約、労働契約で特段の定めをすれば別ですが、その場合でも、労基法第26条による最低保障に反することはできません。労基法第26条は労働者の最低生活保障のための規定であり、使用者の民事上の賃金支払義務を減額する趣旨ではありません。ここにいう「責めに帰すべき事由」は、天災事変などの不可抗力に該当しない限りこれに含まれ、機械の検査、原材料の欠乏、流通機構の不円滑による資材入手難、監督官庁の勧告による操業停止、親会社の経営難のための資金・資材の獲得困難などで休業した場合でも、使用者は休業手当を支払わなければならないのです。

■休業期間中の所定休日
 休業期間中に含まれる所定休日は休業手当を支払うべき日数から除かれます。

■ 4時間勤務の土曜日の休業
 週のある日の所定労働時間が短く定められていても、その日の休業手当は平均賃金の60%以上の額でなければなりません。

■半日休業
  1日の一部のみ休業した場合でも、その日について休業手当を支払うことを要するので、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が休業手当に満たない場合には、その差額の支払いを要します。

■健診結果に基づく休業・短縮勤務
 労働安全衛生法第66条による健康診断の結果に基づいて、休業あるいは短縮勤務を命じられた場合には、それが不当な取扱でない限り、休業手当の支払問題は生じません。

■休業中の賃金未払いへの対応
(1) 不況を理由とした生産調整のための休業の多くは(一時休業、自宅待機などと呼ばれたりする)民法第536条第2項の債権者の帰責事由ある休業なので、賃金全額を請求すべきです。
 労基法上の6割支給すればよいと誤解している企業もあるので是正させること。但し、労組があって休業手当と同じ平均賃金の6割の賃金支払義務しか認めない労働協約が締結されている場合もあるので、注意すること。なお、使用者が休業に係る手当を支払ったものとして、国から雇用保険法の雇用安定事業(雇用保険法第62条第 1項 第1号)である雇用調整助成金(同法施行規則 第102条の第3項)の支給を受けている場合があるので(職安で調べる)、その場合は支払い原資があることになります。

(2) 使用者に帰責事由のない休業であっても、労働災害による場合は労災保険法の休業補償給付等の支給を受けられるし、労働災害でない私傷病による場合には健康保険法の傷病手当金(健康保険法第45条)の支給が受けられます。