Q8 残業代の一部が支払われてないけど請求しにくい‥‥
A 労働基準法が見直され、2020年4月1日より、賃金請求権の消滅時効期間が原則5年(当分の間3年)になりました。所定の支払日から5年(当分の間3年)以内に請求しなければ、請求権が消滅する。労基署申告等の請求行為は、残業代未払の明確な記録(根拠)が必要。
消滅時効 https://www.jtuc-rengo.or.jp/shoumetsujikou2019/
法律のポイント
賃金支払の5原則が定められています。裁判上の請求では労基法第114条による付加金や遅延損害金等も請求できます。
賃金支払の5原則と記録の保存
賃金は、①通貨で、②直接本人に、③全額を、④毎月、⑤一定期日に支払わなければならないとされています。これを賃金支払の5原則といいます。(労基法第24条)
使用者は、賃金台帳などを作成して3年間保存する義務があります。(労基法第109 条)
適用除外者
労基法における労働時間、休憩及び休日に関する規定は、
- 農業、畜産・水産業の事業に従事する者
- 「監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」
- 「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」
には、適用されない。(労基法第41条)
残業代未払への対処
未払算定の裏付けとなる労働時間管理記録、業務記録、給与明細、就業規則等を確保し、これらの証拠とともに未払い残業代を請求することとなります。タイムカード写真記録、パソコンログ時刻、手帳への勤怠記録なども証拠能力となる可能性があります。
賃金不払い残業(いわゆるサービス残業)や裁量労働制に注意
- 労働者が実残業時間どおりの残業代を請求すると、昇進できなくなるなど不利益を被ることがあります。
- 実質的には労基法第41条の管理・監督者に該当しないのに、それに該当すると思わされている労働者が多く存在します。
- 裁量労働制を違法に導入し、適切な実労働時間管理をしていないところもあります。
みなし残業代にも注意
残業代を定額制(固定残業代)としている事業所もあります。この場合、使用者は残業代として支払われる時間数・金額を明示する必要があり、実際に行われた時間外労働時間数を労基法や就業規則等の割増率を適用して計算した金額が、みなし残業代を上回る場合には、その差額を支払わなければなりません。
給与明細の保管
消滅時効に準じ、少なくとも3年間分は保管する必要があります。
対処方法
連合京都への相談 ※相談内容や請求根拠(証拠)に応じて最善の対処方法を選択
- 労働組合結成で将来の未払い賃金再発防止対策を講じる。
- 労基署申告
- 調停
- 支払督促
- 少額訴訟
- 労働審判
- 通常訴訟 等
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