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【労働時間法制ニュース 第5号】長時間労働に対する健康確保措置はどうあるべきか、改正法の施行時期はいつか、委員からの意見が相次ぐ。

【労働時間法制ニュース 第5号】

長時間労働に対する健康確保措置はどうあるべきか、
改正法の施行時期はいつか、委員からの意見が相次ぐ。
5月12日、第134回労働政策審議会労働条件分科会(以下、分科会)が開催された。

前回の分科会に引き続き、時間外労働の上限規制等について、事務局より提示された「論点について(事務局案)」の各論点について、議論を重ねた。
今回は主に、論点の①勤務間インターバル、②長時間労働に対する健康確保措置、③その他について、議論した。「③その他」の項目では、改正法の施行時期をはじめ、36協定の適正化に関して過半数代表者の論点や労働基準法33条3項(公務のために臨時の必要がある場合の時間外労働等)についても意見を述べた。
(※)配付資料「論点について(事務局案)」、「論点に関する参考資料」については、添付資料をご参照。

Ⅰ.日 時:2017年5月12日(金)18:00~19:30
Ⅱ.場 所:中央労働委員会講堂(労働委員会会館7階)
Ⅲ.参加者:公益委員(荒木分科会長、安藤、黒田、平野、水島、守島、両角)
労働者側委員(川野、神田、柴田、冨田、八野、福田、村上、世永)
使用者側委員(秋田、小林、斎藤、早乙女、佐藤、杉山、三輪、輪島)  ※敬称略
Ⅳ.議 題:・時間外労働の上限規制等について
・その他
Ⅴ. 概 要:時間外労働の上限規制等について、事務局より「論点について(事務局案)」が提示され、①勤務間インターバル、②長時間労働に対する健康確保措置、③その他の各論点について、議論を重ねた。主な議論は以下のとおり。
(分)=分科会長、(公)=公益側、(労)=労働者側、(使)=使用者側、(事)=事務局

Ⅵ. 内 容:
1.「勤務間インターバル」について
(労) 労使合意を踏まえ、①労働時間等設定改善法第2条を改正し、事業主の努力義務規定を新設すること、②2015年建議に基づき、同法の指針に追記することに賛成。「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」では、設定改善法および指針が一般的にあまり知られていないことを踏まえ、周知についても検討を。

(労) 「自動者運転者の労働時間等の改善の基準(改善基準告示)」の休息期間は、継続して8時間以上(平常時:1日24時間-拘束時間13時間=11時間以上)となっている。勤務間インターバルは、EU指令やアメリカにおいて規制がある。春季生活闘争でも、大手宅配会社の労使が今秋以降にインターバル制度の導入を決定した。働き過ぎ防止に向け、実効性のある中身としてほしい。

(使) ①勤務間インターバルは、実行計画の中身と理解し、賛成。②資料No.2・P.5に勤務間インターバルの導入状況のグラフがあるが、特徴があれば教えてほしい。
(事) ②調査時の導入企業が少なく、データは参考数値。好事例を収集している。

2.「長時間労働に対する健康確保措置」について
(労) 医師および新技術、新商品の研究開発の業務についても、「適用除外業務だから、いくらでも働かせてよい」ということにはならない。自動車の運転業務および建設事業と同様、できる限り協定の時間を抑えるための方策を検討すべき。その際、医師および新技術、新商品の研究開発の業務に対しても、協定の時間を抑える方向性を示すため、原則の上限(月45時間・年360時間)が適用されるとすべき。

(労) 新技術、新商品等の研究開発の業務に関して、資料No.2のデータを見ると、中には月100時間超えや年1000時間超えの者も少なからず存在している。研究開発のプロセスの一部分のみを定型的に担い、業務に裁量を有さない労働者にまで広く適用したり、長時間の過密労働になりかねない職種に拡大したりすることのないよう、厳格化が必要。また、未然防止の観点から、健康確保措置の検討をお願いしたい。

(使) 医師の面接指導を踏まえた事後措置が、未実施の場合(10.2%)の母集団は。
(事) 事業主が必要性を判断した結果の数字。事後措置が本当に不要だったかは不明。

(労) 研究開発業務の健康確保措置として、事務局案の「時間外・休日労働の時間数が単月100時間超の場合、労働者の申出なしで面接指導を義務付け(安衛法に罰則付き)」とすることは必要。事後措置の確実な実施に向けた、周知をお願いしたい。

(使) 使用者が面接指導を促しても、本人が業務多忙等を理由に受診しないこともあり、企業からの相談も多い。この場合、どの程度対応することが望ましいのか。
(事) 使用者が、面接指導の場所等を案内しても、本人の理由で受診しなかった場合、合理的に見て、事業主の責務を果たしている場合には罰則の対象とならないと認識。

(労) ①安衛法第66条の8の面接指導について、対象となる時間外・休日労働の時間数を単月80時間超に改正することに異論はない。また、申出なしの義務付けは、研究開発業務だけに限らず、他の適用除外業務も対象とすべき。②2015年建議に基づき、「すべての労働者を対象として、客観的な方法による労働時間の把握を省令上義務付ける」ことに賛成。「客観的な方法」は、2017年1月20日策定「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」にある「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等」を意味するとの認識でよいか。
(使) 客観的な方法による労働時間把握の必要性は承知。より詳細な方法の提示を。
(事) 省令策定時に、ガイドラインを踏まえて、議論をお願いしたい。

3.「その他」について
(使) ①罰則付き上限規制であり、業界全体の体制整備に時間がかかる。施行時期猶予とあわせ、早めに通達等の発出を。②労基法改正法案の早期成立をお願いしたい。

(労) ①命と健康に関わる問題。できる限り早期の施行を望む。②中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予廃止を早期に実施すべき。

(使) 事業場毎の36協定締結・届出は煩雑なため、電子化等の簡素化をお願いしたい。
(事) 電子申請の利用率が低調。電子署名等、電子申請の利用促進に取り組みたい。

(労) ①不適切な方法で過半数代表者が選出された場合、その過半数代表者が締結した36協定は無効となるところ、協定届に労基法施行規則第6条の2の要件を満たす選出方法が記載されている場合には受理されると聞く。監督署の届出に際し、実際の運用はどのようになされているのか。②無効となった場合の効果は何か。
(事) ①2015年建議の内容が未措置であり、運用を検討したい。②労基法違反となる。
(分) 最高裁判例(トーコロ事件)も踏まえ、適正な36協定なく時間外労働は不可。

(労) 罰則付き時間外労働規制の実効性担保のためには、36協定の適正化が必要であり、過半数代表者の選出手続の厳格化・適正化に加え、過半数代表者が意見集約を行う手段・制度に関する規制等も検討することが必要。

(使) 中小零細企業では過半数代表者のなり手がいない。施行規則の周知が重要。

(労) 過半数代表者が適切に役割を果たせるよう、使用者が配慮することも必要。

(公) 過半数代表者の任期はないと理解しているが、ルールや望ましい姿はあるのか。
(事) 任期については、特段の定めはない。
(労) 36協定締結毎に選出することになり、複数年等、長期間の任期は考えられない。
(分) 労使協定の期間満了までの任期となり、その後改めて選出することになる。

(労) 実行計画に触れられていないが、労基法33条3項について意見。「公務のために臨時の必要がある場合」に該当しない場合でも、同項に基づき時間外労働をさせている実態があると聞く。本分科会のみで解決する問題ではないが対応を願いたい。
(事) 公務員の長時間労働問題は、実行計画に一つの項目として記載がある。過労死等防止対策推進協議会にも関係省庁が参加しており、引き続き連携していきたい。

以 上

(添付資料)

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