<政策ニュースレター第138号>第87回全国健康保険協会(協会けんぽ)運営委員会 報告 インセンティブ制度について議論紛糾
各構成組織
書記長・事務局長および政策担当者 様
各地方連合会
事務局長および政策担当者 様
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸
政策委員会委員長 野田 三七生
総合政策局長 川島 千裕
総合政策局長 平川 則男
<政策ニュースレター第138号>
第87回全国健康保険協会(協会けんぽ)運営委員会 報告
インセンティブ制度について議論紛糾
第87回全国健康保険協会(協会けんぽ)運営委員会が10月23日に開催され、第4期アクションプランの骨格案とインセンティブ制度のあり方について事務局から提案され、議論が行われた。第4期アクションプランについては、具体的な取組内容と1対1対応となったアウトカムの評価をしやすいシンプルなKPIを設定し、PDCAサイクルを効果的に機能させると事務局が提案した。これに対し、協会の使命に立ち返り、最終的に達成すべき姿から逆算して取り組み内容を肉付けしていくべき等と意見が出された。また、インセンティブ制度のあり方については、平川委員(連合総合政策局長)が、「強制加入の社会保険であり、公権力の行使であるという性質・性格を踏まえれば、法律の趣旨に書かれていない理由をもって保険料を引き上げるのは問題が大きい」など制度導入そのものについて疑問を投げかけた。いずれの提案も、今後の委員会で引き続き議論が行われる。次回は11月28日に開催される。主な意見は以下のとおり。
<主な意見>
(第4期アクションプラン)
〇取り組みのアウトカムを検証する視点が第3期同様に必要ではないか。
⇒(事務局)相互に関連性が複雑なアウトカム指標は極力廃し、具体的な取り組みに1対1対応するシンプルなKPIを設定することが、事後評価や検証に資すると考えている。
〇適切なKPI設定が重要であり、基本理念やコンセプトに合致した指標を十分に検討すべき。
⇒(事務局)評価・検証可能性の高いアウトカムは積極的にKPIとして採用していきたい。
〇協会けんぽの取り組みが日本全体としての医療制度に対しどう影響するのか、関連性を明確にしておくべき。
〇加入者に対しても取り組みの達成状況は見える化すべき。よって定性的な指標よりは定量的で誰でも客観的に評価できる成果指標を設定すべきと考える。
〇常に協会けんぽの基本使命に立ち返り、その使命を達成するために必要なことは何かという視点で具体的な取り組みやKPIへと落とし込んでいくことが大事。
〇本部と支部との連携をさらに強化する必要があると思うが、現状の取り組みは。
⇒(事務局)業務を主管する部長クラスが支部を回り、好事例の横展開促進やマニュアルの整備によるノウハウの蓄積などに取り組んでいる。
〇第3期よりもプランの骨組みをわかりやすくする提案には賛成。
(インセンティブ制度)
〇全支部に対する料率0.01%の上積みとは具体的に何億円に相当するか。
⇒(事務局)総額でおよそ80億円に相当し、加入者一人当たり(平均標報28万円)に換算すると28円/月、労使折半で14円/月に相当する。
〇月数十円単位の金額規模で、加入者が多い都市部に対しインセンティブが働くのか。
⇒(事務局)協会けんぽ内で財源を出し合うという仕組み上、負担する支部にとっても過度な負担とならないよう配慮した。
〇(連合 平川委員)保険者インセンティブという理由で支部の保険料率を変えることについて、訴訟リスクも含めて法的な問題はないのか。
⇒(事務局)協会の保険料率は都道府県支部ごとであり、その設定方法は政令委任とされる。当該政令に規定することを想定しており、もって法律上は問題ないと考えている。
〇(連合 平川委員)インセンティブという目的が政令委任する内容として妥当なのか。いわゆる個人と法人の契約ではなく、強制加入の社会保険であり、公権力の行使であるという性質・性格を踏まえれば、法律の趣旨に書かれていない理由をもって保険料を引き上げるのは問題が大きい。仮に法的、理念的な問題がクリアになったとしても、大規模な支部では取り組みが実施率などに反映されにくく、結果としてディスインセンティブとならないよう配慮が必要。
以 上
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