「地方公務員の給与に関する研究会」の検討に関り、総務省に要求書を提出

労働組合の意見・要望を踏まえた検討を行え!


 自治労連は12月20日、総務省に「地方公務員の給与に関する研究会」(以下「研究会」)の検討に関わっての要請書を提出しました。自治労連からは、川俣副委員長、柴田中執、篠原中執が出席しました。総務省公務員課からは、渡辺課長補佐、給与能率推進室三橋課長補佐などが対応し、受け取りました。
 要請にあたって、この「研究会」が設置趣旨として「骨太2004」を受け地方歳出削減、人件費削減のための検討としていることに重大な関心を持って申し入れることを表明するとともに、十分な意見反映をおこなうことを求めました。また自治体労働者の「労働基本権制約」という事態を踏まえること重要性を強調し、「同一労働同一性」「生計費原則」などの原則を踏まえること、地方公務員の給与が地方経済に与える影響を考慮することを改めて強調しました。

                     20041220

総務大臣  麻生太郎 殿
        
                      日本自治体労働組合総連合

    中央執行委員長 駒場忠親 
   

「地方公務員の給与に関する研究会」の検討に関する要請書

 日頃より、地方自治の発展にご尽力されていることに敬意を表します。

さて、貴省はさる10月に地方公務員給与について、地域の民間給与の状況を的確に反映させるための人事委員会の機能強化等について検討を行うとして「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」(以下、研究会)を発足させ、本年度中の中間報告をめざし議論を進めておられます。

この検討が、研究会の「趣旨」にも明記されているように「骨太方針2004」に基づく地方歳出の徹底した見直しを前提とした検討であり、地方公務員の給与制度に重大な影響を及ぼすもので、私たちは重大な関心を持っています。

労働者の賃金は、憲法が保障する「労働基本権」のもとで労使交渉にもとづき決定されるべきものですが、自治体労働者の労働基本権は不当にも制約され、いわゆる「代償措置」とされる人事委員会の勧告制度が設けられています。

こうしたもとで研究会が検討を進めている、人事委員会の機能や地方公務員の給与のあり方、さらには給与構造の見直しなどは、「労働基本権制約」の枠組みとも関わった給与制度の見直しであり、当然に関係する労働組合等との交渉や協議がなされてしかるべきだと考えます。

また、「広く有識者の意見を聞く」として設置された「研究会」が、人事委員会のあり方、地方公共団体の給与決定の考え方を検討されるにあたっても「労働基本権制約の代償措置」のあり方に重大な影響を及ぼすものであり労働組合の意見や要求が反映されるべきであると考えます。

しかも、今回の検討が、「地域の民間給与の状況をより的確に反映」する、いわゆる「地域間の格差を拡大」給与決定システムの検討であり、公務員賃金のみならず民間の労働者を含む地域全体の賃金水準に重大な影響を及ぼす内容であるだけに、貴職が、設置された「研究会」の検討に下記の事項が反映されるよう措置していただきたく要請します。

                      記

1.「研究会」の検討にあたっては、関係する全ての労働組合等の意見・要望を踏まえて検討がなされるように関係する全ての労働組合の意見聴取・要望を反映する機会を十分に設けるとともに「研究会」の傍聴・議事録公開を行う。

2.「研究会」の検討は、人事委員会の機能や役割、さらには地方公務員の給与制度のあり方は、地方公務員の「労働基本権制約の代償の枠組み」と深く関わる重要な性格を持つものであり、憲法が保障する「労働基本権」を踏まえた検討をおこなうとともに、「地方自治の本旨」にもとづく給与の自主決定が尊重されるよう検討を行うこと。

3.地方公務員の給与が、地方分権にふさわしい自治体運営にあたる人材の確保、公務サービスの専門性・安定性・継続性を維持する視点で、「同一労働・同一賃金」「生計費原則」などの原則を踏まえ検討を行うこと。

  4.給与制度の検討に際しては、地方公務員の給与が、地域における一 定の社会的規範性を持ち、地域の民間賃金にも大きな影響を与える性格 を持っており、地域全体の賃金水準の引き下げや地域経済のいっそうの 疲弊を及ぼすなどの影響を十分に考慮して検討すること。