国・自治体の公的責任の放棄、なし崩し的な「公務員制度改革」をすすめる「新行革大綱」の閣議決定に強く抗議する

                                   20041224日 

日本自治体労働組合総連合 

書記長代行 松本利寛(談話)

政府は1224日の閣議で、「今後の行政改革の方針」(「新行革大綱」)を決定した。「新行革大綱」は、行政改革を「構造改革の重要な柱の一つとして、『民間にできることは民間に』、『地方にできることは地方に』等の観点から強力に推進」し、「簡素で効率的な政府を構築し、財政の建て直しに資する」「行財政運営の改善・透明化」「国民生活の利便性を図る」としている。

その主な特徴は、第1に、財政危機、財界要求を背景にして、国民の共有財産である公務・公共業務を縮小・解体するとともに、様々なアウトソーシングツールの活用と整備、規制緩和等を通じて「官製市場」の「民間開放」をいっそう推進するものとなっていることである。また、これらを通じて05年度から09年度までの5年間に国家公務員定員の10%以上を削減する新たな目標が示された。特に、「集中的な減量・効率化を行う」とされた地方支分局等の事務・事業については、「三位一体改革や道州制の検討を踏まえ」た廃止・民営化や自治体への委譲などにも踏み込むものとなっており、今後の自治体再編の動きにも重大な影響を与えるものである。さらに、「骨太方針2004」を踏まえ「市場化テスト」の本格導入に向けた05年度のモデル事業の実施と「市場化テスト法」(仮称)も含めた制度の検討・整備、医療・教育など「規制改革・民間開放推進会議」の掲げた14の重点項目に基づく主要「官製市場の改革」の速やかな検討などがうたわれており、国・自治体の公的責任の放棄にいっそう拍車をかけ、国民生活にも重大な影響を及ぼす内容となっている。

2に、「公務員制度改革」については、「公務員制度改革大綱」が目標とした06年度からの制度実施を見送ったものの、「改めて改革関連法案の提出を検討」するとともに、「現行制度の枠内でも実現可能なものについては早期に実行に移し、改革の着実な前進を図る」として「評価の試行」などに踏み込んだ。このことは、2度にわたるILO勧告を無視し、労働基本権の制約を維持しながら、なし崩し的に制度改悪をすすめるものである。

3に、「地方分権の推進」をうたいながら、それに逆行し改めて市町村合併や地方行革を強要するものとなっていることである。「市町村合併の推進」では、「1000自治体」の目標をふまえて「現行合併特例法」の経過措置や「新合併特例法」の都道府県の勧告権限等を活用して「合併を強力に推進」するとしている。また、「地方行革の推進」では、04年度末までに「新地方行革指針」を策定し、地方公務員定数・給与の「適正化」、民間委託・PFI・指定管理者制度の活用、第3セクター・地方公営企業の見直し、電子自治体の推進、行政評価制度の活用、能力実績重視の人事制度の確立や任用・勤務形態の多様化などをすすめるとしており、「経営努力に応える地方交付税算定を実施」など財政面からもこれを強要するものになっている。

 自治労連は、国・自治体の公的責任の放棄、なし崩し的な「公務員制度改革」をすすめる「今後の行政改革の方針」(「新行革大綱」)の閣議決定に強く抗議するとともに、「この国のかたち、地方のかたち」を変える小泉構造改革との対決を正面に掲げ、民主的な行財政制度の確立、地方自治の拡充、ILO勧告に沿った民主的な公務員制度の確立をめざし、国民的な共同をひろげいっそう奮闘するものである。