人事院が「給与構造の基本的見直し(素案)」を提示

談話

04年11月5日 京都自治労連
書記長 佐竹卓二

 人事院は、04年11月2日関係労働組合に、「給与構造の基本的見直し」(素案)を提示しました。(全文は別掲

 @この素案は、基本的には04年報告に沿ったものとなっていますが、「人事院として正式に提示した」ものとして、05年勧告に向けての関係団体等との論議をすすめるためのものとしています。

 A地域給に関しては、民間賃金の低い地域(ブロック)の官民比較を考慮して、全国共通給料表を切り下げ、高い地域に20%を上限とする地域手当を支給し、現行調整手当を廃止するとしています。 

 B給与構造の見直しでは、「年功賃金」の大きな要素となっている各級各号の金額の重なりを是正する。各級高位号俸を引き下げ、その原資で前半号俸を引き上げフラット化を図る。普通昇給・特別昇給を廃止し成績査定による査定昇給を導入する。勤務実績が適切に昇給額に反映されるよう、現行の号俸を細分化し、勤務実績に応じた昇給基準を設定する(実績で昇給幅を変える) 昇給月を年1回とする(現行4四半期) 枠外昇給を廃止する。また、勤勉手当への成績の反映を適格にするため、標準者の支給月数を引き下げ、その原資でプラス査定者に加算する、などとなっています。

 今回の素案提示は、企業間格差の地域的反映である「地域格差」をあたかも、今日の公務と民間との間の大きな問題であるかのように描き出し、拡大する一方の企業規模格差をさらに増幅させ、日本全国ほとんど全てを網羅する「地域」と、グローバル企業の拠点の「東京」との格差を、あらゆる面で拡大することにつながるものです。

 また、三位一体での地方財政の切り捨てとも相まって、地域の福祉や教育水準の低下、地域間格差を拡大し、均衡ある日本の発展を大きく阻害するものです。

 また、実績による給与制度を打ち出していますが、報告や素案にもあるように、「能力」による格付けの記述は、一切ありません。公務員制度「改革」大綱での「能力等級制度」は、事実上頓挫したものとなっており、あるのは職務職責の強化と、評価制度が不明なままの、実績評価による格差です。

 総じて、今回正式に示された素案は、職務給でも能力給でもなく、これまでの職務職責による賃金格差をいっそう強め、同一職務職責でも、実績評価によって格差を付けようとするものです。

 京都自治労連は、全国の仲間と連帯し、地域給の導入を許さず、いかなる評価制度の導入も許さず、賃金格差の拡大に反対し、眞に民主的で住民に奉仕できる、また、労働者全体の賃金水準の向上に資する人事給与制度の確立にむけ、運動を展開する決意です。