言論の自由を踏みにじるNHK番組改ざん問題について(談話) |
2005年1月24日 |
告発によれば、安倍晋三自民党幹事長代理(当時内閣官房副長官)、中川昭一経済産業大臣(当時衆院議員)は、NHKの国会担当者を呼び出し、放送の中止を求めるよう圧力をかけ、その結果、番組の内容は当初の編集と大きく変わり、「番組の意図は大きく損なわれた」ということである。 これが事実とすれば、まず第一に憲法21条で禁じられた検閲そのものであるし、言論・表現の自由を侵す重大問題である。安倍氏が、「偏っている」という認識と立場に立って公平・中立を求めること自体は、政府の報道機関に対する圧力・介入そのものである。「反対側の意見」「時間的な配分」など番組の具体的な内容にまで言及していることも重大な問題である。 第二に放送内容についての「不偏不党」をうたった放送法第三条に反する、民主主義破壊の行為である。NHKが、政府の不当な圧力・介入に対して屈すたことは、国民に対しての背信行為である。 第三に旧日本軍「慰安婦」制度を批判的に描くことそのものを、政府の重職にあるものが「公正を欠くもの」として放送中止を求めることは、この歴史上の犯罪について旧日本軍の関与を認め、「お詫(わ)びと反省の気持ち」を表明した、1993年8月の政府見解、国際公約にも反するものである。 自治労連は、勇気ある内部告発を行った長井暁氏の姿勢に最大限の敬意を表するとともに、すべての報道機関に検閲に屈することなく、言論、表現の自由を守るよう求めるものである。 今回の改ざん問題について、@安倍・中川領主議員議員を始め、関係者の参考人招致の実現、A第三者による調査・検証のための調査委員会の設置、BNHKは真の公共放送としての再生に向け、経営陣の刷新をふくむ抜本的改革を強く求めるものである。 |