国の財政再建の地方への押し付けは許されない

─「骨太方針2004」の発表にあたって「三位一体改革」を批判する―

                              2004年6月11日
                              日本自治体労働組合総連合
                              書記長代行 松本 利寛
   (談話)

 6月4日、小泉内閣は「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(以下「骨太方針2004」)を閣議決定した。小泉首相は、その直後「改革の『芽』を『大きな木』に育てるための基本戦略だ」と述べた。しかしこれは、「大きな木」どころか地方自治を「枯れ木」にするものである。

 「骨太方針2004」は地方交付税について、「地方の歳出を見直し、抑制する」としてさらなる削減をめざしている。地方交付税等の削減について、あれほど地方から批判がわきおこったことを反省しないばかりか、地方財政計画を通して昨年とまったく同じ手法で改悪をめざすとしているのは、地方を愚弄するものである。

 地方自治体などは、地方財政計画の経常的経費(一般行政費、人件費)が実際の支出よりも少なく見積もられているとして地方交付税の増額を要求しているのに対し、財務省は、逆に地方がムダづかいをしているなどとして、社会保障と地方公務員の人件費の削減を徹底して進めるとしている。すでに自民党の行政改革推進本部(衛藤征士郎本部長)の「地方行革に関する提言案」は、地方公務員定数、給与・手当の適正化など行革リストラの成果に応じ、地方交付税交付金の上積みなど、リストラ推進に交付税制度を悪用することを提言している。

 また地方からの批判に押されて「税源移譲は概ね3兆円規模を目指す」としたが、「その前提として地方公共団体に対して、国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめる」としているが、これは税源移譲を「先行決定」したわけではない。

 また「三位一体の改革の全体像」を秋に先延ばししたのは、参院選を前にして、国民に負担を押し付けることの明示を避けたものである。「全体像」を示すべきだという声に耳をふさぎ、国民の審判を回避したことは、議会制民主主義の否定ともいえるものである。

 この「骨太方針2004」が実施されるならば、住民と地方自治体に大きくしわ寄せされざるをえない。「経済財政運営の考え方」で、2006年度までに「必要な税制上の措置を判断する」とするのは、消費税引き上げについてである。このような国の財政再建を地方や住民に押し付ける方針は、白紙に戻すべきである。
                                            (以上)