労働法と労働組合の必要性


 労働組合の活動や、人間らしく働き生きる権利は以下の様に基を辿れば
 最高法規である日本国憲法で保障されています。


 以下は労働基準法の1条と2条です。この後、138条まで労働時間・有休・休憩時間などの労働条件の最低基準が定められており、使用者は遵守しなければなりません。
 しかし、ブラック企業という言葉が浸透している現在、労働組合のない会社を筆頭に多くの使用者が法律を守れていないと思いませんか?第1条の②項を守り率先して労働条件の向上させようとする経営者は更に少ないのではないでしょうか?
 なぜ、労働基準法が守られないか様々な要因がありますが、その一つに取締機関が圧倒的に不足していることが挙げられます。これは日本全国に数百万とある企業を約3,000人の労働基準監督官で査察・指導している現状からみても明らかであり、今後の取締機関の強化は必須です。
 そこで、法律遵守の監視役として登場するのが職場で働く労働者自身となります。1人で経営者に提言するのはその後の仕返しを考えると勇気がいりますが、労働組合は後掲の「労働組合法」で守られている為、経営者は仕返しをできません。
 使用者に法律を守らせるということはごく当たり前のことですが、ブラック企業が蔓延る現代では「労働組合」の大きな役割の一つとなってきました。

~労働基準法(抜粋)~

(労働条件の原則)
◎ 第1条 
①労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
②この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

(労働条件の決定)
◎ 第2条
①労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
②労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。


 以下は労働組合法の抜粋です。使用者と労働者では交渉するにしても使用者の方が強い立場にあるために交渉にならないのではないかと思われますが、この労働組合法により労使対等の立場での交渉する権利が保障されています。使用者は正当な理由なく労働組合からの団体交渉要求を拒否することはできず、要求に対して真摯に検討し回答する義務があります。
 労働組合があれば、職場の様々な問題について会社と対等な立場で団体交渉(話し合い)を行い、問題解決に向かえる権利を得られます。話し合いの場があり、労働者が納得して仕事をすることで企業の健全な成長が望め、私達も安心して働くことができます。

~労働組合法(抜粋)~

① 労使対等の原則の確立
(目的)
第1条  
この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続きを助成することを目的とする。

② 労働組合の定義
第2条  
この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでない。
一  使用者の利益を代表する者の参加を許すもの(中省略)
二  団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの(中省略)
三  共済事業その他福利事業のみを目的とするもの
四  主として政治運動又は社会運動を目的とするもの

③ 不当労働行為の禁止(差別・黄犬契約・団交拒否・支配介入)
(不当労働行為)
第7条
 使用者は左の各号に掲げる行為をしてはならない。
●差別待遇の禁止 =使用者は次のことを理由にして解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない
(1)労働者が労働組合の組合員であること
(2)組合に加入し、組合を結成しようとしたこと
(3)組合の正当な活動をしたこと
(4)労働委員会の手続に参加したこと
●黄犬契約の禁止 =使用者は労働者が組合に加入しないこと、組合から脱退することを採用の条件にしてはならない
●団交拒否の禁止 =使用者は正当な理由なく、労働組合の団交申入を拒否できない
●支配介入の禁止 =使用者は組合の結成・運営にたいし支配介入をしてはならない。経費援助は原則として許されない